Jun 13

ハーバード大学への新規留学生「入国停止」

トランプ政権とハーバード大学の対立が続く中、先週2025年6月4日、トランプ大統領は、F-1、M-1、J-1ビザを持つハーバード大学の全新入生の入国を一時停止し、国務省と国土安全保障省(DHS)に対し、現在のビザの取り消しも検討するよう命じる布告を出しました。ホワイトハウスはこれを国家安全保障上の措置と位置づけ、キャンパス内の「外国とのつながりや過激主義に関する問題」を理由としました。

ハーバード大学は直ちに、すでに進行中であったDHSによる5月22日のSEVP(学生・交流訪問者プログラム)認定取り消しに対する訴訟を修正し、24時間以内にマサチューセッツ州連邦地方裁判所のアリソン・バローズ判事が、大統領令の執行を一時的に停止する仮処分命令(TRO)を発令しました。

来週6月16日(月)に本格的な審理が予定されているものの、当面の間、この禁止措置は凍結された状態が続いています。

この措置の重要性

今回の大統領令はハーバード大学を名指ししていますが、特定の大学と安全保障上のリスクを結びつける論理は、他の教育機関にも適用される可能性があります。さらに、国務省はすべての新規F-1ビザ申請者に対するビザ面接を一時停止し、「ソーシャルメディア審査」の新たな導入を検討しています。F-1ビザの面接再開やその見通しに関しては、今週中に発表があると見込まれています。

*F-1ビザは、米国の教育機関で学ぶ外国人留学生向けの主要な非移民ビザです。

関連する先例

過去にも、米国移民・関税執行局(ICE)が留学生の滞在を制限しようとした例があります。2020年7月、ICEはオンライン授業のみを受講していた留学生に対し、国外退去を求める方針を打ち出しました。当時、ハーバード大学とマサチューセッツ工科大学(MIT)が即座に提訴し、さらに数十の大学やテクノロジー企業が意見書(アミカス・ブリーフ)を提出し、迅速な対応が取られました。その結果、この規則はわずか9日足らずで撤回されました。

今回も同様の展開となる可能性があります。実際、先日(6月10日)、アイビーリーグの5校を含む19の大学や、1万2,000人を超えるハーバード卒業生が、ハーバード大学を支持する意見書を連邦裁判所に提出しました。

米国の大学に進学予定の留学生が知っておくべき最新情報(2025年6月時点)

時間軸

最新情報

実務対応

2025年6月

連邦裁判所により一時的差し止め命令(TRO)が発令中。6月16日に予定されている審理で、仮差し止め命令(予備的差し止め)の是非が判断される見通しです。

在籍を続け、SEVIS(学生情報システム)の記録を最新に保つこと。すでに米国内にいる場合は、裁判の結論が出るまでは不要な渡航を控えること。

2025年夏

第1巡回区控訴裁判所への上訴が行われる可能性があります。判決の結果にかかわらず、ビザ面接仮差し止め状況は継続する可能性があります。

東京でのビザ面接予約枠が引き続き限られている場合は、所属大学の指定学校担当官(DSO)と連携し、ソウルやシンガポールなどの他都市での面接予約を検討すること。

2025~26年学年度

裁判所がハーバード大学側の主張を認める可能性が高いと見られており、その場合は通常のビザ発給体制が復旧する見込みです。ただし、一部の国に対しては追加の安全保障審査が継続される可能性もあります。

再入国の際、I-20、資金証明書、在籍証明書などの書類は、常に携行すること。入国時に二次審査に回されるケースが増える可能性があります。

東京アカデミックス在籍ご家庭の皆さまへ:現時点での対応方針とご案内

  • 現時点では直ちに影響を受ける状況ではないことを認識しておきましょう: 今回の措置(大統領令)につきましては、すでに一時差し止め命令(TRO)が発令されており、直ちに影響が及ぶ状況ではありません。また、過去の判例により、最終的な審理を経て方針が覆される可能性は高いです。
  • 手続きの遅延を前提としたスケジュールを: たとえ今回の大統領令が無効と判断された場合でも、ビザ発給の遅延や追加のセキュリティ審査の影響により、通常より長いリードタイムが発生する可能性があります。ビザ申請や渡航準備においては、数週間程度の余裕を持った計画を立ちましょう。
  • 複数の進学先を検討する視点も重要: 米国外への進学も視野に入れることは、長期的な視点から見ても有効です。情勢の不確実性を踏まえ、英国、カナダ、アジア、オーストラリアなど他地域の大学も選択肢として検討しましょう。選択肢の出願戦略とタイムラインは、早い段階からの検討が鍵となります。
  • 大学や専門機関の支援を積極的に活用しましょう:(新入生および在学中の大学生向け)多くの大学や専門団体は、必要に応じて迅速に法的対応に踏み切る姿勢を示しています。学生の皆さんは、大学内のリーガルクリニックや国際学生担当オフィスを頼りにし、最新の情報や具体的なアドバイスを受けるようにしましょう。
  • 最新情報を把握しておきましょう: 東京アカデミックスの入学コンサルタントは、6月16日の審理およびその後の上訴の動きについて引き続き注視してまいります。最新情報を継続的に把握しており、対応を進めていますので、どうぞご安心ください。

米国は長年にわたり、外国人優秀人材の受け入れと規制の間で揺れ動いてきましたが、合法的な留学を制限しようとする重要な試みはいずれも強力な法的抵抗に直面してきました。2025年の大統領令も同様の経緯をたどると予想されます。今後数週間は不透明な状況が続く可能性もありますが、過去の判例からは現状の回復が見込まれます。

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